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歯列矯正後の後戻り防止装置〜種類と正しい使い方を徹底解説blog

2025.09.24

歯列矯正後の後戻り防止装置とは?その重要性を理解しよう

歯列矯正治療を終えたとき、多くの患者さんは「これでやっと完了!」と安堵の気持ちでいっぱいになります。しかし実は、矯正装置を外した後こそが、美しい歯並びを維持するための重要な時期なのです。

矯正治療によって動かした歯は、実はまだ完全に安定していません。歯と歯茎の間の繊維が元に戻ろうとする力を歯に加えるため、何も対策をしなければ、せっかく綺麗になった歯並びが元に戻ってしまう「後戻り」を起こす可能性があるのです。

この後戻りを防ぐために必要なのが「リテーナー」と呼ばれる保定装置です。リテーナーは矯正治療後の歯並びを安定させ、長期間にわたって美しい歯並びを維持するための重要な装置なのです。

私が日々の臨床で実感するのは、リテーナーの重要性を十分に理解している患者さんとそうでない患者さんでは、数年後の歯並びに大きな差が出るということです。

この記事では、矯正治療後の後戻り防止装置(リテーナー)の種類や正しい使い方、そして長期間にわたって美しい歯並びを維持するためのポイントについて詳しく解説していきます。

後戻りが起こるメカニズムと防止の必要性

まず、なぜ歯が後戻りするのかを理解しましょう。矯正治療によって歯を動かすと、歯の周りの骨や歯周組織が新しい位置に適応するまでに時間がかかります。

矯正装置を外した直後は、歯を支える骨がまだ完全に形成されておらず、歯周靭帯(歯根の周りの繊維)も伸展した状態にあります。Reitanの研究によれば、この伸展した歯周靭帯はゴムのような働きをして、歯を元の位置に戻そうとする力を発揮するのです。

また、舌や唇の圧力、噛み合わせのクセ、姿勢の悪さなども後戻りの原因となります。特に舌で歯を押す癖や口呼吸などの習慣がある方は、より後戻りのリスクが高まります。

後戻りを放置すると、せっかく時間とコストをかけて整えた歯並びが崩れるだけでなく、噛み合わせの問題や顎関節への負担、さらには虫歯や歯周病のリスク増加にもつながる可能性があります。

そして、一度崩れた歯並びを再び整えるには、再矯正治療が必要になることも。これは時間的にも経済的にも大きな負担となります。

だからこそ、矯正治療後の「保定期間」と呼ばれる時期に、適切なリテーナーを使用することが非常に重要なのです。

リテーナー(保定装置)の種類と特徴

リテーナーには大きく分けて「取り外し式」と「固定式」の2種類があります。それぞれに特徴があり、患者さんの状態や生活スタイルに合わせて最適なものを選択します。

取り外し式リテーナー

自分で着脱できるタイプのリテーナーです。主に以下の3種類があります。

  1. マウスピースタイプ(クリアリテーナー)

透明なプラスチック素材で作られたマウスピース型のリテーナーです。目立ちにくく審美性に優れているため、特に大人の患者さんに人気があります。

歯全体にフィットするデザインで、均等に力をかけることで歯並びの安定を図ります。取り外しができるため、食事や歯磨きの際に外して使うことができ、口腔ケアがしやすい点も魅力です。

  1. プレートタイプ(ベックタイプ・ホーレータイプ)

歯の表側にワイヤーを、裏側にプラスチックのプレートを取り付けたタイプのリテーナーです。ベックタイプは歯全体をワイヤーで囲み、ホーレータイプは特に後戻りしやすい前歯部分をしっかり固定する設計になっています。

耐久性に優れ、長期間使用できるのが特徴です。また、リテーナーが壊れた場合でも、歯科医院で簡単に修理が可能です。

  1. スプリングリテーナー

プレートタイプの一種で、必要に応じて歯を少し動かす機能を持たせたリテーナーです。軽度の後戻りが生じた場合に、再矯正することなく歯を元の位置に戻すことができます。

固定式リテーナー

歯の裏側にワイヤーを接着して固定するタイプのリテーナーです。フィックスタイプリテーナーやリンガルリテーナーとも呼ばれます。

自分で取り外すことができないため、装着忘れの心配がなく、24時間体制で歯の位置を保持できます。特に前歯の後戻りが起こりやすい方に適しています。

装置自体が小さく目立たないため、審美的にも優れていますが、ワイヤーが接着された部分は歯磨きがしづらいため、清掃に工夫が必要です。

リテーナーの正しい使い方と装着期間

リテーナーの効果を最大限に発揮するためには、正しい使い方と適切な装着期間を守ることが重要です。

装着期間の目安

リテーナーの装着期間は一般的に矯正治療期間と同じくらいの2〜3年が目安とされています。しかし、歯の状態や元の歯並びの程度によって個人差があります。

矯正治療が終わり約1年間は、歯を磨く時以外はリテーナーを装着していただきますが、歯の位置が徐々に馴染んできましたら、担当の歯科医師と相談しながら少しずつリテーナーを外す時間を増やしていきます。

まずは、食事の間の1時間ほど、さらに慣れてきたら3時間、6時間と段階を踏み、就寝時のみ装着するようにします。約2年〜3年ほどリテーナーを使用し、歯がかなり安定してきたら担当の歯科医師と相談の上リテーナーを外します。

なお、私の臨床経験では、特に歯並びの乱れが大きかった患者さんや、歯が動きやすい体質の方は、より長期間の保定が必要なケースも少なくありません。中には生涯にわたって定期的にリテーナーを使用することをお勧めするケースもあります。

取り外し式リテーナーの使用方法

取り外し式リテーナーを使用する際は、以下のポイントに注意しましょう。

  • 食事や歯磨きの時以外は常に装着する(特に矯正直後の数ヶ月間)
  • リテーナーを外す際は、左右均等に力を加えて慎重に行う
  • 外したリテーナーは専用のケースに保管する
  • 熱湯や高温の場所は変形の原因になるので避ける
  • 洗浄には専用の洗浄剤を使用し、約30分ほど漬けることが目安(長く漬けすぎると金属部分が溶け出す原因に)

特に注意していただきたいのは、リテーナーを一時的に外した後に装着するのを忘れると、短期間でも後戻りを起こしてしまったり、歯が移動してしまいリテーナーが合わなくなってしまう可能性があることです。

固定式リテーナーの注意点

固定式リテーナーを使用する場合は、以下の点に注意が必要です。

  • ワイヤーが接着された部分は特に丁寧な歯磨きを心がける
  • 歯間ブラシやデンタルフロスを使用して、ワイヤーの周りの清掃を徹底する
  • 硬いものを噛むときは注意し、ワイヤーが外れないように気をつける
  • 定期的に歯科医院でチェックを受け、ワイヤーの状態を確認してもらう

固定式リテーナーは一部分のみ外れるとその歯だけ動いてしまう危険性があります。違和感を感じたら早めに歯科医院を受診しましょう。

リテーナーのお手入れ方法と長持ちさせるコツ

リテーナーを清潔に保ち、長持ちさせるためのお手入れ方法をご紹介します。

取り外し式リテーナーのお手入れ

取り外し式リテーナーは、毎日のケアが重要です。以下の手順で清掃しましょう。

  • 使用後は必ず流水でよくすすぐ
  • 歯ブラシ(柔らかめ)と中性洗剤で優しく磨く
  • 週に2〜3回は専用の洗浄剤に浸けて洗浄する
  • 洗浄後は十分に水ですすぎ、清潔な状態で保管する

リテーナーの洗浄には必ず専用の洗浄剤を使用するようにしましょう。およそ30分ほど漬けることが洗浄の目安です。長く漬けすぎると金属部分が溶けだしてしまい、破損の原因となります。

また、ガムを食べるとリテーナーに付着し取れなくなってしまう場合がありますので、装着中はガムを食べないでください。

固定式リテーナーの清掃方法

固定式リテーナーは、通常の歯磨きに加えて以下のケアが必要です。

  • ワイヤーの周囲を意識した丁寧な歯磨き
  • 歯間ブラシを使用してワイヤーの下や周囲の清掃
  • デンタルフロスとフロススレッダーを使用して、ワイヤーの下の清掃
  • 定期的な歯科医院でのプロフェッショナルクリーニング

固定式リテーナーは目に見えない部分にあるため、清掃が不十分になりがちです。特に前歯の裏側は歯垢や歯石が溜まりやすいので、注意が必要です。

歯科医院では、リテーナー装着後の清掃方法について詳しく説明してもらえますので、不明点があれば遠慮なく質問しましょう。

リテーナー使用中によくある質問と対処法

リテーナーを使用する中で、患者さんからよく寄せられる質問とその対処法をご紹介します。

「リテーナーを数日使わなかったら入らなくなった」

リテーナーを数日間使用しないだけでも、歯が動いてリテーナーが合わなくなることがあります。特に矯正直後は歯が動きやすい状態なので注意が必要です。

もしリテーナーが入りにくくなった場合は、無理に装着せず、早めに歯科医院に相談しましょう。軽度の変化であれば調整で対応できる場合もありますが、大きく変化してしまった場合は再作製が必要になることもあります。

「リテーナーが壊れてしまった」

リテーナーが破損した場合も、すぐに歯科医院に連絡しましょう。修理できる場合と新しく作り直す必要がある場合があります。

特にプレートタイプのリテーナーは、口腔内の違和感を少なくするために裏側のプレート部分が薄く作られています。そのため、歯磨き時に外したときや洗浄時に力を入れすぎると破損してしまう場合があります。

「リテーナーをつけると話しづらい」

初めてリテーナーを装着すると、発音しにくさを感じることがあります。これは新しい装置に舌や口腔内が慣れていないためで、多くの場合、数日から1週間程度で改善します。

慣れるまでは、家族や友人との会話など、リラックスした環境で話す練習をすることをお勧めします。また、読書を声に出して行うのも効果的です。

「定期検診はどのくらいの頻度で受ければいいの?」

保定期間中の定期検診は、初めの数ヶ月は1〜2ヶ月ごと、その後は3〜6ヶ月ごとが一般的です。当院では、2年間の保定期間を設けており、1年間の来院回数は4回ほどです。

矯正装置を撤去してすぐは1〜2ヶ月での来院ですが、期間が空いてくると半年に1回の通院になっていきます。

定期検診では、歯並びの状態やリテーナーの適合状態をチェックし、必要に応じて調整を行います。また、口腔内の健康状態も確認しますので、必ず受診するようにしましょう。

まとめ:美しい歯並びを長く維持するために

歯列矯正後の後戻り防止装置(リテーナー)は、せっかく手に入れた美しい歯並びを長期間維持するために欠かせない装置です。

リテーナーには取り外し式と固定式があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。患者さんの歯の状態や生活スタイルに合わせて、最適なタイプを選択することが重要です。

リテーナーの使用期間は一般的に2〜3年程度ですが、個人差があり、場合によってはそれ以上の期間使用することもあります。担当医の指示に従って、適切に使用することが大切です。

また、リテーナーの正しいお手入れと定期的な歯科検診も、美しい歯並びを維持するために重要なポイントです。

矯正治療は、装置を外した瞬間が「ゴール」ではなく、むしろ美しい歯並びを守るための「新たなスタート」と考えましょう。リテーナーを適切に使用し、定期的なメンテナンスを受けることで、長期間にわたって健康で美しい歯並びを維持することができます。

歯列矯正やリテーナーについてご不明な点がありましたら、ぜひBelle歯科・矯正歯科にご相談ください。患者さん一人ひとりに合わせた最適な矯正治療と保定計画をご提案いたします。

詳しい情報や無料相談のお申し込みは、Belle歯科・矯正歯科の公式サイトをご覧ください。

著者情報

Belle歯科・矯正歯科 院長 竹内優斗

[経歴]

日本矯正歯科学会 認定医

近畿東海矯正歯科学会

インビザライン プラチナプロバイダー

兵庫県歯科医師会

神戸市歯科医師会

神戸市西区歯科医師会

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