マウスピース矯正中にホワイトニングは可能?基本情報を解説
マウスピース矯正で歯並びを整えている最中に「歯を白くしたい」と思ったことはありませんか?
透明なマウスピースを使った矯正治療は目立ちにくいのが特徴ですが、それだけに歯の色が気になってしまうこともあります。歯並びと色、両方を同時に改善できれば理想的ですよね。
結論からお伝えすると、マウスピース矯正中でもホワイトニングは可能です。むしろ、マウスピース矯正とホワイトニングの併用は、多くの歯科医院で推奨されている組み合わせなのです。
私は日本矯正歯科学会認定医として、これまで数多くの患者さんのマウスピース矯正とホワイトニングを同時に行ってきました。この記事では、その経験をもとに、安全かつ効果的に両方の治療を進めるためのポイントを詳しく解説します。

マウスピース矯正とホワイトニングを同時に行うメリット
マウスピース矯正とホワイトニングを同時に進めることには、いくつかの大きなメリットがあります。具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
治療期間の効率化ができる
マウスピース矯正とホワイトニングを同時に行うことで、全体の治療期間を大幅に短縮できます。
マウスピース矯正は歯の状態によって個人差がありますが、平均して1年半〜2年程度かかります。一方、ホームホワイトニングは約6ヶ月程度の期間を要します。もし矯正が終わってからホワイトニングを始めると、トータルで2年以上の期間が必要になることも。
同時に進めれば、矯正終了と同時に白い歯も手に入れることができるため、時間を有効に使いたい方には非常におすすめの方法です。
また、ホワイトニングは治療法にもよりますが、2週間から1ヶ月程度で白さを実感できることが多いので、マウスピース矯正の途中でも見た目の変化を感じやすいというメリットもあります。
マウスピースを有効活用できる
ホームホワイトニングを行う際には、通常、自分の歯型に合わせた専用のマウスピース(トレー)を作る必要があります。
しかし、マウスピース矯正中であれば、矯正用のマウスピースをホワイトニング用としても活用できる場合が多いのです。これにより、新たにマウスピースを作成する手間と費用を節約できます。
具体的には、矯正用マウスピースにホワイトニングジェルを塗布して装着することで、歯の移動とホワイトニングを同時に進めることができます。
一石二鳥の効果が得られるこの方法は、忙しい現代人にとって大きなメリットと言えるでしょう。
マウスピース矯正中のホワイトニング方法の種類
マウスピース矯正中に行えるホワイトニングには、いくつかの種類があります。それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を選びましょう。
オフィスホワイトニング
オフィスホワイトニングは、歯科医院で専門的な薬剤と機器を使って行うホワイトニング方法です。
高濃度の薬剤を使用するため、短時間で高い効果が期待できます。通常1回の施術で約30分〜1時間程度かかり、即効性を求める方に適しています。
マウスピース矯正中でもオフィスホワイトニングは可能ですが、アタッチメント(マウスピースを固定するための小さな装置)が付いている歯には薬剤が均一に浸透しにくいため、色ムラができる可能性があります。
そのため、アタッチメントの位置や数によっては、矯正終了後にオフィスホワイトニングを行う方が均一な白さを得られることもあります。
ホームホワイトニング
ホームホワイトニングは、歯科医師の指導のもと、自宅で行うホワイトニング方法です。
専用のマウスピースに薬剤を入れて装着し、時間をかけてじっくりと歯を白くしていきます。オフィスホワイトニングより低濃度の薬剤を使用するため、刺激が少なく、知覚過敏などのリスクも低減できます。
マウスピース矯正中の方には特におすすめの方法で、矯正用のマウスピースをそのままホワイトニング用として使用できる場合が多いです。
自分のペースで進められるため、日常生活に合わせやすいというメリットもあります。
デュアルホワイトニング
デュアルホワイトニングは、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを組み合わせた方法です。
まず歯科医院でオフィスホワイトニングを行い、その後自宅でホームホワイトニングを継続することで、効果の持続性を高めます。
マウスピース矯正中の方でも利用可能ですが、矯正の進行状況やアタッチメントの位置によって、効果に差が出る可能性があります。
どうしても早く白くしたいという方には、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングの良いとこ取りができるこの方法もおすすめです。
マウスピース矯正中にホワイトニングを行う際の注意点
マウスピース矯正とホワイトニングを同時に行う際には、いくつかの注意点があります。これらを理解して適切に対応することで、より効果的な治療結果を得ることができます。
色ムラができる可能性がある
マウスピース矯正中にホワイトニングを行う際の最大の注意点は、色ムラができる可能性があることです。
特にインビザラインなどのマウスピース矯正では、歯の表面にアタッチメントと呼ばれる小さな装置を付けることがあります。このアタッチメントは歯と同じ色の樹脂でできていますが、ホワイトニング剤が浸透しないため、アタッチメントの部分だけ色が変わらず、治療後に色ムラが生じることがあります。
また、歯が重なっている部分にもホワイトニング剤が均一に浸透しにくいため、矯正の初期段階ではホワイトニング効果にムラが出やすくなります。
こうした色ムラを防ぐためには、ある程度歯並びが整ってからホワイトニングを始めるか、矯正終了後に再度ホワイトニングを行うことも検討しましょう。
知覚過敏が起こりやすい
矯正治療中は歯が動くため、一時的に知覚過敏(しみる症状)が起こりやすくなっています。
そこにホワイトニングによる刺激が加わると、通常よりも強い痛みを感じる可能性があります。特に新しいマウスピースに交換した直後は歯の移動が活発な時期なので、ホワイトニングによる刺激をより強く感じることがあります。
痛みを感じた場合は無理をせず、一時的にホワイトニングを中断し、歯科医師に相談することをおすすめします。知覚過敏用の歯磨き粉を使用するなど、対策を講じることで症状を軽減できることもあります。
どうしても気になる方は、低濃度のホワイトニング剤を使用したり、使用頻度を減らしたりするなどの調整も可能です。
マウスピースの装着時間への影響
マウスピース矯正では、1日20〜22時間の装着が推奨されています。ホワイトニングのために長時間マウスピースを外すと、矯正の進行に影響が出る可能性があります。
オフィスホワイトニングを選択する場合は、施術時間分だけマウスピースを外すことになりますが、1回あたり1時間程度なので大きな問題にはなりにくいでしょう。
ホームホワイトニングの場合は、矯正用マウスピースにホワイトニングジェルを塗布して使用できるため、装着時間への影響を最小限に抑えることができます。
ただし、ホワイトニングジェルの使用時間は製品によって異なるため、歯科医師の指示に従って適切に使用することが重要です。
マウスピース矯正中にホワイトニングを成功させるコツ
マウスピース矯正中にホワイトニングを行う際、より効果的に進めるためのコツをご紹介します。これらのポイントを押さえることで、両方の治療を無理なく成功させることができます。
タイミングを考慮する
マウスピース矯正中にホワイトニングを行う際は、タイミングが重要です。
新しいマウスピースに交換した直後は歯が最も活発に動いている時期で、知覚過敏が起こりやすくなっています。この時期にホワイトニングを行うと、痛みを強く感じる可能性があります。
理想的なのは、マウスピース交換から3〜4日経過した後にホワイトニングを行うことです。この頃になると歯の動きが安定し、知覚過敏も落ち着いてくるため、ホワイトニングによる刺激を感じにくくなります。
また、矯正開始から数ヶ月経過し、歯並びがある程度整ってからホワイトニングを始めると、より均一な白さを得られやすくなります。
歯科医師と相談して進める
マウスピース矯正とホワイトニングを同時に行う場合は、必ず担当の歯科医師に相談してから進めることが大切です。
歯科医師は患者さんの口腔内の状態を詳しく把握しているため、最適なホワイトニング方法やタイミングをアドバイスしてくれます。また、知覚過敏などのトラブルが起きた場合も、適切な対処法を教えてもらえます。
自己判断でホワイトニング製品を使用すると、予期せぬトラブルが起こる可能性があります。特に市販のホワイトニング製品は、歯科医院で処方されるものと比べて効果や安全性が異なることもあるため、注意が必要です。
安全かつ効果的に治療を進めるためにも、定期的な歯科検診を受けながら、専門家の指導のもとでホワイトニングを行いましょう。
適切なホワイトニング剤を選ぶ
マウスピース矯正中のホワイトニングでは、使用する薬剤の種類や濃度も重要なポイントです。
矯正中は歯が敏感になっていることが多いため、低濃度のホワイトニング剤から始めるのがおすすめです。徐々に濃度を上げていくことで、痛みを最小限に抑えながら効果を得ることができます。
また、フッ素やカリウムなど知覚過敏を抑える成分が含まれたホワイトニング剤を選ぶと、より快適に治療を進められます。
当院では患者さんの歯の状態や感受性に合わせて、最適なホワイトニング剤を提案しています。矯正治療の進行状況を見ながら、必要に応じて薬剤の種類や濃度を調整することで、痛みを抑えつつ効果的なホワイトニングを実現しています。

マウスピース矯正後のホワイトニングについて
マウスピース矯正中にホワイトニングを行わなかった場合や、より均一な白さを求める場合は、矯正終了後にホワイトニングを行うという選択肢もあります。
矯正治療が終わると、歯並びが整い、アタッチメントも除去されるため、ホワイトニング剤が均一に浸透しやすくなります。これにより、色ムラのない美しい白さを得ることができます。
また、矯正終了後は保定期間に入り、リテーナー(保定装置)を装着することになります。このリテーナーもマウスピースタイプであれば、ホワイトニング用トレーとして活用できる場合があります。
矯正治療で美しい歯並びを手に入れた後、ホワイトニングでさらに輝く白い歯を手に入れることで、より自信に満ちた笑顔を手に入れることができるでしょう。
どのタイミングでホワイトニングを行うべきかは、患者さんの希望や口腔内の状態によって異なります。まずは歯科医師に相談して、自分に最適なプランを立てることをおすすめします。
まとめ:マウスピース矯正中のホワイトニングで理想の笑顔を手に入れよう
マウスピース矯正中のホワイトニングについて詳しく解説してきました。両方の治療を同時に行うことで、時間を効率的に使いながら、美しい歯並びと白い歯を手に入れることができます。
ただし、色ムラや知覚過敏などの注意点もあるため、必ず歯科医師と相談しながら進めることが大切です。適切なタイミングやホワイトニング方法を選ぶことで、トラブルを最小限に抑えながら効果的な治療を行うことができます。
当院では、患者さんの口腔内の状態や生活スタイルに合わせて、最適な矯正治療とホワイトニング治療をご提案しています。美しい歯並びと白い歯を手に入れて、自信に満ちた笑顔を取り戻したいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
詳しい矯正治療についてのご案内は、Belle歯科・矯正歯科をご覧ください。皆様の素敵な笑顔づくりをサポートいたします。

著者情報
Belle歯科・矯正歯科 院長 竹内優斗
[経歴]
日本矯正歯科学会 認定医
近畿東海矯正歯科学会
インビザライン プラチナプロバイダー
兵庫県歯科医師会
神戸市歯科医師会
神戸市西区歯科医師会

