歯列矯正を終えた後、多くの人が「これでやっと完了!」と思いがちです。でも実は、ここからが大切な保定期間の始まり。せっかく時間とお金をかけて手に入れた美しい歯並びを維持するためには、リテーナー(保定装置)の正しい使用が欠かせません。
矯正治療後の歯は不安定な状態で、元の位置に戻ろうとする力が働いています。この「後戻り」を防ぐリテーナーは、いつまで使い続ければいいのでしょうか?
この記事では、矯正後のリテーナー装着期間や種類、正しい使い方から後戻り防止のポイントまで、あなたの疑問にすべてお答えします。
矯正後のリテーナーはいつまで必要?装着期間の目安
「リテーナーっていつまでつければいいの?」
矯正治療を終えた多くの方が抱くこの素朴な疑問。実は、リテーナーの装着期間は一般的に矯正治療期間と同程度の2〜3年が目安とされています。矯正治療が1年間だった場合は保定期間も1年、3年間の治療なら保定期間も3年というのが基本的な考え方です。
でも、これはあくまで目安。実際には個人差があり、歯の状態や元の歯並びの複雑さによって変わってきます。歯科医師の指示に従うことが何よりも大切です。
リテーナーの1日の装着時間も段階的に変化します。矯正直後は1日20時間以上の装着が必要ですが、歯が安定してくると夜間のみの装着に移行していくのが一般的です。
ただし、歯は一生動き続けるものです。年齢を重ねると顎の骨や歯茎の状態が変化し、それに伴って歯並びも少しずつ変わっていきます。
だからこそ、理想を言えば、リテーナーは一生使い続けるのがベストなんです。
歯科医師から指示された保定期間が終わった後も、週に数回の夜間装着を続けることで、美しい歯並びを長期間維持できるでしょう。

リテーナーをサボるとどうなる?後戻りのリスク
「たまにリテーナーを忘れても大丈夫かな?」
そんな甘い考えが、せっかくの矯正治療を台無しにしてしまうかもしれません。リテーナーをサボると、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起こるリスクが高まります。
特に矯正治療直後は歯を支える骨がまだ安定しておらず、歯が動きやすい状態です。この時期にリテーナーの装着をおろそかにすると、あっという間に歯並びが崩れてしまうことも。
リテーナーをサボった場合に起こりうる問題
リテーナーの装着を怠ると、次のような問題が発生する可能性があります:
- 装着したときに痛みを感じるようになる
- リテーナーが入らなくなる
- 歯並びが元に戻り始める
- リテーナーの作り直しが必要になる
- 最悪の場合、再矯正が必要になる
後戻りは徐々に進行するため、気づいたときにはかなり進んでいることも珍しくありません。リテーナーをきちんと装着していれば、リテーナーがきつく感じたり合わなくなったりすることで、早い段階で歯並びの変化に気づくことができます。
あなたは長い時間とお金をかけて理想の歯並びを手に入れたのです。その成果を守るためにも、リテーナーの装着は妥協せず、歯科医師の指示に従いましょう。
「面倒だな」と思うこともあるかもしれませんが、再矯正のコストと時間を考えれば、リテーナーの装着は決して大きな負担ではないはずです。
リテーナーの種類と選び方
リテーナーには大きく分けて「取り外し式」と「固定式」の2種類があります。それぞれに特徴があるので、自分のライフスタイルや歯の状態に合わせて選ぶことが大切です。
取り外し式リテーナー
自分で着脱できるタイプのリテーナーです。主に以下の3種類があります。
マウスピースタイプ(クリアリテーナー)は、透明なプラスチック素材で作られた目立ちにくいリテーナーです。歯全体をカバーするので均等に力をかけられる利点があります。
プレートタイプ(ホーレータイプ・ベッグタイプ)は、歯の表側にワイヤーを、裏側にプラスチックのプレートを取り付けたタイプです。耐久性に優れ、長期間使用できるのが特徴です。
固定式リテーナー
歯の裏側にワイヤーを接着して固定するタイプのリテーナーです。フィックスタイプリテーナーやリンガルリテーナーとも呼ばれます。
自分で取り外すことができないため、装着忘れの心配がなく、24時間体制で歯の位置を保持できます。特に前歯の後戻りが起こりやすい方に適しています。
装置自体が小さく目立たないため、審美的にも優れていますが、ワイヤーが接着された部分は歯磨きがしづらいため、清掃に工夫が必要です。
あなたに合ったリテーナーの選び方
リテーナーを選ぶ際は、以下のポイントを考慮しましょう:
- 生活スタイル(忙しくて装着を忘れがちな人は固定式が向いている)
- 歯並びの複雑さ(大きく動かした歯がある場合は固定式が効果的)
- 口腔ケアへの意識(固定式は清掃が難しいため、丁寧なケアができる人向け)
- 見た目の好み(目立ちにくさを重視するなら透明なマウスピースタイプ)
- 耐久性(長期使用を考えるならプレートタイプが優れている)
最終的には、歯科医師と相談しながら、あなたの状態に最適なリテーナーを選びましょう。場合によっては、上下の歯で異なるタイプを使用したり、複数のタイプを併用したりすることもあります。
リテーナーの正しい使い方とお手入れ方法
リテーナーの効果を最大限に発揮させるためには、正しい使い方とお手入れが欠かせません。
取り外し式リテーナーの使い方
取り外し式リテーナーは、食事と歯磨きの時以外は装着するのが基本です。特に矯正直後は1日20時間以上の装着が推奨されています。
リテーナーを外す際は、両側を均等に引っ張るようにして慎重に取り外しましょう。片側だけに力をかけると変形や破損の原因になります。
外したリテーナーは必ず専用のケースに保管してください。ティッシュなどに包むと、誤って捨ててしまうリスクがあります。
リテーナーのお手入れ方法
リテーナーを清潔に保つことは、口腔衛生と装置の寿命を保つために重要です。
- 使用後は必ず水で洗い流す
- 毎日、柔らかい歯ブラシで優しく洗浄する(歯磨き粉は使わない)
- 週に1〜2回、専用の洗浄剤で消毒する
- 熱湯での洗浄は変形の原因になるので避ける
- マウスピースタイプは特に変形しやすいので、直射日光や高温の場所を避けて保管する
リテーナーに臭いや汚れが付きやすいと感じる場合は、洗浄回数を増やしたり、超音波洗浄器を使用したりするのも効果的です。
固定式リテーナーのケア
固定式リテーナーは特別なケアが必要です。ワイヤーの周りに歯垢や歯石がたまりやすいため、以下のポイントに注意しましょう:
- フロスや歯間ブラシを使って、ワイヤーの周りもしっかり清掃する
- 専用のフロススレッダーを使うと、ワイヤーの下も清掃しやすい
- 定期的な歯科検診で、プロによるクリーニングを受ける
リテーナーのお手入れを怠ると、不快な臭いだけでなく、虫歯や歯周病のリスクも高まります。日々のケアを習慣化して、清潔な状態を保ちましょう。

後戻りを防ぐためのポイント
リテーナーの装着だけでなく、日常生活での習慣も後戻りに影響します。以下のポイントに注意して、矯正の成果を長く維持しましょう。
装着時間を必ず守る
何度も強調しますが、歯科医師の指示通りの装着時間を守ることが最も重要です。特に矯正直後の数か月は、後戻りのリスクが最も高い時期です。
「今日だけ」と思って装着を怠ると、それが習慣になってしまいます。リテーナーの装着を日常生活の一部として受け入れ、習慣化することが大切です。
口腔習癖に注意する
舌で歯を押す癖や、口呼吸、爪噛みなどの習慣も後戻りの原因になります。これらの習癖がある場合は、意識的に改善するよう心がけましょう。
特に舌癖は無意識に行っていることが多いため、歯科医師に相談して対策を立てることをおすすめします。
親知らずの管理
親知らずが生えてくると、歯並びに影響を与えることがあります。矯正後に親知らずが生えてきた場合は、歯科医師に相談して、抜歯の必要性を検討しましょう。親知らずによる歯列への圧力は、せっかく整えた歯並びを崩す原因になることがあります。
定期的な歯科検診
矯正治療が終わった後も、定期的に歯科医院を受診して、歯並びの状態をチェックしてもらいましょう。早期に後戻りの兆候を発見できれば、大きな問題になる前に対処できます。
また、検診時にリテーナーの状態もチェックしてもらい、必要に応じて調整や新しいリテーナーの作製を検討することも大切です。
あなたの理想の笑顔を長く維持するためには、リテーナーの正しい使用と定期的なケアが欠かせません。「面倒だな」と感じることもあるかもしれませんが、美しい歯並びを手に入れるために費やした時間とお金を無駄にしないためにも、リテーナーとの付き合いを大切にしてください。
まとめ:理想の歯並びを長く維持するために
矯正治療後のリテーナー装着は、美しい歯並びを維持するための重要なステップです。ここまでの内容をまとめると:
- リテーナーの装着期間は一般的に2〜3年が目安だが、理想的には一生使い続けるのがベスト
- リテーナーをサボると後戻りのリスクが高まり、再矯正が必要になることも
- 取り外し式と固定式、それぞれのリテーナーにメリット・デメリットがある
- リテーナーの正しいお手入れと使用方法を守ることが大切
- 口腔習癖の改善や定期的な歯科検診も後戻り防止に重要
長い時間とコストをかけて手に入れた美しい歯並びを守るために、リテーナーとの付き合いを大切にしましょう。
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著者情報
Belle歯科・矯正歯科 院長 竹内優斗
[経歴]
日本矯正歯科学会 認定医
近畿東海矯正歯科学会
インビザライン プラチナプロバイダー
兵庫県歯科医師会
神戸市歯科医師会
神戸市西区歯科医師会

