マウスピース矯正で装着時間が重要な理由
マウスピース矯正は、透明で目立ちにくい装置を使って歯並びを整える治療方法です。
取り外しができる点が大きな魅力ですが、その自由度がゆえに「装着時間の管理」が治療成功の鍵を握ります。
歯は持続的な力をかけることで少しずつ動いていくため、装着時間が不足すると計画通りに歯が動かず、治療効果が得られません。マウスピースを外している時間が長いと、動かした歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起こり、治療計画全体が狂ってしまう可能性があります。
マウスピース矯正では、段階的に新しい装置へ交換して進めます。装着時間が不足すると、次のステップに移行できず、治療期間が長引く恐れがあります。見た目の変化だけでなく、歯の土台を整える意味でも時間管理が欠かせません。

装着時間の目安は1日20〜22時間
多くのマウスピース矯正では、1日20〜22時間の装着が推奨されています。
これは、歯に持続的な力をかけ続けることで少しずつ歯を移動させる仕組みのためです。外している時間が長いと、歯が元の位置に戻ろうとする後戻りが起き、計画通りに動かなくなります。
外して良いのは、食事と歯みがき、マウスピースの清掃の時のみとされています。それ以外の時間はできる限り装着していることが、スムーズな治療成功の鍵となります。つまり食事や歯磨きのとき以外は、基本的にずっとマウスピースをつけて過ごす必要があるということです。
この時間を聞いて「そんなの無理…」と感じる方も少なくありません。外食が多い方や間食の習慣がある方、装着を忘れがちな方にとっては、ハードルが高く感じられるでしょう。とはいえ、装着時間をしっかり守ることは、マウスピース矯正で理想の歯並びを手に入れるために必須です。
18時間では不十分になる可能性
20時間〜22時間に比べて18時間しか装着できなかった場合、歯にかかる力が不足して移動が遅れてしまいます。
その結果、マウスピース交換時に合わなくなったり、治療期間が延びたりする可能性があります。装着時間が短いと、次の段階のマウスピースに交換した際に歯が追いつかず、フィットしない状態になることがあります。これを「アライナーの浮き」と呼び、矯正計画が狂う大きな原因となります。

装着時間を守れなかった場合の影響とリスク
装着時間を守らない日が続くと、見た目や噛み合わせの面でさまざまな問題が生じます。
治療期間が長引く
マウスピース矯正は、装着時間を守ることを前提に治療計画が作成されます。装着時間が足りない日が続くと、計画通りに歯を動かせません。また、歯を動かせないだけでなく、せっかく動かした歯が矯正前の状態に戻る後戻りをしてしまう可能性も。後戻りをしてしまうと、一つ前のマウスピースを再びつけたり、治療計画を立て直したりしなければならず、その分治療期間が長引いてしまいます。
マウスピースが合わなくなる
マウスピース矯正は、治療段階に合わせて作製したマウスピースを順番通りにつけ替えて、少しずつ歯を動かします。
装着時間が足りないと計画通りに歯が動かず、マウスピースが合わなくなってしまうことも。マウスピースのずれが大きくなってしまうと、新しく作り直しになることもあります。マウスピースを作り直している間は治療が中断し、治療期間が長引くことに。クリニックによってはマウスピース作り直しの費用も余分にかかることになるでしょう。
歯茎が下がるリスク
マウスピースの装着時間が足りず、歯が動いていない状態で次のStepの新しいマウスピースを装着しても、しっかりとはめ込めません。
不適合のマウスピースを無理にはめ込むと、強い痛みや圧迫感があることも。また不適合のまま新しいマウスピースを使っていると、歯に矯正力が強くかかる原因に。歯に無理な力がかかると、歯肉退縮(歯茎が下がって歯の根っこが露出してしまう)のリスクが高まってしまいます。
噛み合わせがずれる可能性
部分的に装着時間が足りないと、歯の動きにムラが出ることがあります。その結果、上下の歯の噛み合わせがずれるリスクがあります。噛み合わせの悪化は、マウスピースの不適切なフィッティングや圧力分布の不均一に起因します。定期的な調整と患者の口腔状況に合わせた微調整が非常に重要です。
追加の調整が必要になる場合も
長期間にわたり装着時間が不足すると、予定通りに歯が動かず歯列の再スキャンや再作製が必要になることもあります。これにより追加費用や治療期間の延長につながるリスクもあります。

1日つけ忘れた程度なら影響はほとんどない
マウスピース矯正を1日でもつけ忘れると「影響が出てしまうのでは?」と心配になる人もいるかもしれません。
しかし1日つけ忘れた程度なら影響はほとんどありません。1つのマウスピースで歯が動く距離は1週間で約0.25mm、1日だと約0.036mm程度だからです。1日で歯が動くのはわずかな距離ですので、仕事の関係で半日外していたり1日つけ忘れた程度では、大きな影響がないと考えてよいでしょう。
ただそれが頻繁に続くと、治療計画からずれる原因になります。装着時間を守らないことで、治療が長引いたり、マウスピースが合わなくなったりするリスクもあります。とはいえ、毎日きっちり20時間以上つけるのは、実際なかなか大変です。
装着時間を守れなかった場合のリカバリー方法
装着時間が守れなかった場合でも、適切な対処をすることで治療計画を軌道修正できます。
気づいたらすぐに装着する
今日は忙しくて外していた時間が長かったという場合でも、気づいたらすぐに装着することが大切です。
少しでも装着時間を取り戻す意識を持ちましょう。外出時の持ち歩きを習慣にすることも重要です。専用ケースを常に持ち歩き、外したらすぐに装着できる環境を整えておくと安心です。
交換日は無理に早めない
装着時間が不足した日が続いた場合、予定していた交換日に次のマウスピースに進むと、歯が追いつかず、歯にフィットしないリスクがあります。
その際は数日延長して同じマウスピースを装着し続け、歯の動きを安定させましょう。自己判断でスケジュールを進めると失敗の原因になります。装着時間が不足した場合やマウスピースが浮いてしまう場合は、必ず歯科医師に相談し、治療計画の調整をしてもらいましょう。
歯科医師に相談する
装着時間が守れなかった場合、自己判断せずに歯科医師に相談することが最も重要です。
矯正専門医の指導の下で適切なリテーナーの使用や定期的なフォローアップが必要です。後戻りが発生した場合、再矯正や保定装置の調整が必要になることがあります。実績豊富な矯正専門医であれば、抜歯後のスペースを適切に管理し、隣接する歯の移動をコントロールするために緻密な治療計画を立てます。
専門医による再評価
失敗したマウスピース矯正のリカバリーには、専門医による再評価が不可欠です。
矯正は、口の中の構造に合わせてカスタマイズされたマウスピースを使って行われるので、正しいサイズと形が非常に重要です。適切なフィット感を確保するためには、歯科医師との緊密なコミュニケーション、詳細な計測とシミュレーションが重要です。加えて、歯の配置に合わせた精密なマウスピースの定期的な調整が必要です。

装着時間を確保するための工夫
装着時間を守るコツは、外すタイミングを固定化することです。
食事時間を短縮する
外している時間の多くは食事に関連しています。
だらだらと食べるのを避け、1回の食事や間食をコンパクトに済ませることで、装着時間を増やせます。食事・歯みがきの後に必ず装着する、装着時間をアプリなどで管理するなど、自分に合った方法を取り入れましょう。
アラームやアプリを使用
装着時間を管理するアプリやアラームを利用して、1日の装着時間を可視化するのも効果的です。
数字で確認できると、モチベーションの維持につながります。薄く透明な素材のため、会話や仕事中も装着したままで問題ありません。目立ちにくい特性を活かし、できるだけ装着時間を途切れさせないことが大切です。
継続しやすい環境を整える
常に清潔な状態を保つことで装着時の不快感を減らし、継続しやすくなります。専用の洗浄剤やケースを活用して衛生管理を行いましょう。
患者様側のマウスピースメンテナンスも重要です。適切な矯正医の選定、正確な診断、そして維持管理の重要性を理解することで、あなたの矯正治療がより安全かつ効果的になるでしょう。

まとめ
マウスピース矯正の装着時間は1日20時間〜22時間が良いとされており、18時間では不十分になる可能性があります。
装着時間が足りないと歯の動きが遅れ、マウスピースが合わなくなったり、治療期間が延びたりするリスクがあります。忙しい日常の中でも、食事や歯みがき以外はできるだけ装着を続けることが、治療成功のポイントです。もし装着時間が守れなかったときは、自己判断せずに歯科医師に相談しながら正しくリカバリーしていきましょう。
Belle歯科・矯正歯科では、日本矯正歯科学会認定医として専門的な知識と経験を活かし、患者様にとって最適な治療計画をご提案いたします。マウスピース矯正に関するご相談や装着時間の管理についてのアドバイスも行っておりますので、お気軽にご相談ください。
詳細はこちら:Belle歯科・矯正歯科

著者情報
Belle歯科・矯正歯科 院長 竹内優斗
[経歴]
日本矯正歯科学会 認定医
近畿東海矯正歯科学会
インビザライン プラチナプロバイダー
兵庫県歯科医師会
神戸市歯科医師会
神戸市西区歯科医師会

