矯正治療中に口内炎ができやすい理由
矯正治療を始めると、多くの患者様が口内炎に悩まされます。
これは決して珍しいことではなく、矯正治療中の非常によくあるトラブルの一つです。特に装置を装着したばかりの頃やワイヤーの調整直後、マウスピースを新しいものに変えた時などは、口内炎ができやすい時期といえます。
矯正装置がお口の中の粘膜に当たることで、粘膜が傷つき炎症を起こすことが主な原因です。
ワイヤー矯正で用いるブラケットやバンド、マウスピース矯正でのマウスピースの縁が当たって生じる口内炎は「カタル性口内炎」と呼ばれます。舌やお口の中の粘膜が部分的に赤く腫れたり、水膨れのような形状になったり、腫れた部分が熱を帯びているような感覚があるのが特徴です。
表側矯正では唇や頬の粘膜に、裏側矯正では舌にできやすくなる傾向があります。ワイヤーやブラケットが外れていると、これらの装置がズレて頬や唇を傷つけてしまうこともあるため、気がついた時には早めに歯科医院で修正してもらうことが大切です。
また、矯正装置によって口の中の衛生状態が悪くなることも、口内炎の原因の一つとなります。
ブラケットやワイヤーの周りには汚れが溜まりやすく、歯磨きもしにくいため磨き残しが生じやすいのです。細菌が繁殖し、炎症が起こるリスクが高まります。

矯正治療以外の口内炎の原因
矯正治療が直接の原因ではない口内炎もあります。
アフタ性口内炎
口内炎の中でもよく起こりやすい、白くて丸い口内炎です。数ミリ程度の大きさで、白い部分の周りは赤く囲まれた状態になっています。疲れ・ストレス・睡眠不足などによる免疫力の低下や、ビタミンB2などの栄養不足が、アフタ性口内炎を引き起こす要因と考えられています。
約10日で治ることがほとんどですが、なかなか治らない・何度も口内炎ができるという場合には、他の病気が原因の可能性があります。
カンジダ性口内炎
お口の中には、カビの一種である「カンジダ菌」が存在しています。
しかしお口の中が不衛生になると増殖し、口内炎を引き起こしてしまうのです。入れ歯を使用している人に多くみられ、入れ歯の形に沿ってお口の粘膜が赤くなる・白い膜ができるといった特徴があります。
ウイルス性口内炎
ヘルペスやクラミジアなどのウイルス感染が原因で引き起こされます。お口の中に水ぶくれができて破れた後に、かさぶたができる口内炎です。かゆみがでる場合もあります。
アレルギー性口内炎
金属アレルギーを持っている人に起きます。被せ物などの金属に反応して、金属と触れている部分・その周囲が赤く腫れるのが特徴です。手足が腫れる・かゆくなるケースもあります。
自宅でできる口内炎の対処法
口内炎ができると食事や会話に集中できないほどの痛みを感じることもあります。
少しでも早く痛みを抑えるための対処法をご紹介します。
矯正用ワックスを使用する
矯正装置によるこすれや傷が原因の場合には、「矯正用ワックス」を使用してみましょう。矯正用ワックスは矯正装置を覆う粘土のようなもので、口内炎の痛みの緩和・再発予防の効果があります。
使用方法は簡単です!
ワックスを適量(豆粒大)ちぎり、ブラケットの大きさに合うよう丸めます。ワックスをつけたい箇所の唾液や汚れを拭き取ってから、ワックスをブラケットに押し込むように密着させましょう。主に治療を受けている歯科医院で購入できます。
歯垢や食べかすが残っている状態だとワックスがつかないので、必ず清潔な状態にしてからワックスをつけるようにすると良いでしょう。

市販薬で応急処置をする
口内炎用の薬には、塗り薬、飲み薬、貼り薬(パッチ)などがあります。
軟膏タイプ、直接貼るパッチタイプ、スプレータイプなどがあり、炎症を鎮めます。歯科医院で処方することもできますし、どうしても今すぐ応急処置をしたいという場合は市販薬で対応することも可能です。
矯正装置を調整してもらう
矯正用ワックスを使っても口内炎が改善されない場合は、矯正装置自体の調整が必要かもしれません。
日常生活に支障がでるようでしたら、一度受診することをお勧めします。装置の調整により、粘膜への刺激を軽減できる可能性があります。
刺激の少ない食事をする
カレーやキムチなどの刺激が強いもの、レモンなど酸っぱい食べ物、熱いものは口内炎の悪化を招きます。シチューやリゾット、茶碗蒸しやゼリー、ヨーグルトなどのとろみがあるものがおすすめです。

口内炎を予防する生活習慣
口内炎予防として、摂取したい栄養素を意識して取り入れてみてはいかがでしょうか。
皮膚や粘膜の健康維持に役立つ栄養素
ビタミンB群や鉄分、亜鉛などは粘膜の健康維持に欠かせない栄養素です。矯正治療中は装置が邪魔で食事がしづらかったり、特定の食品が食べにくくなったりするため栄養バランスが崩れがちですが、意識的に摂取することが大切です。
ビタミンC:トマトやピーマンなどの緑黄色野菜、イチゴなど
ビタミンB2:ブロッコリー、納豆、チーズ、レバー、ウナギなど
ビタミンB6:ささみ、大豆、マグロ、バナナ、アボカドなど
特にビタミンB2、B6、B12、葉酸、鉄、亜鉛などは口内炎の予防・改善に重要な役割を果たします。これらの栄養素が不足すると粘膜が弱くなり、口内炎ができやすくなってしまいます。
歯磨きで口の中を清潔に
汚れや細菌が残っていると、口内炎の治りが遅くなったり悪化したりする可能性があります。
矯正装置があることでケアが不十分になりがちですが、丁寧なセルフケアでお口の中を清潔に保つことを心がけると良いでしょう。ブラケットやワイヤーの周りは特に念入りに磨き、歯間ブラシやフロスも活用することをお勧めします。
ストレスを溜めない
ストレスや疲労は免疫力を低下させ、口内炎の発症を促します。
十分な睡眠時間を確保し、心身の状態を整えることも口内炎予防には重要です。矯正治療中は装置による違和感や痛みでストレスを感じやすい時期でもあるため、リラックスできる時間を意識的に作ることが大切です。

こんな時は早めに歯科医院へ
口内炎は痛みや不快感を伴い、食事や会話にも影響を与えるため、矯正治療中の大きなストレスとなることがあります。
痛みが強い・長引く(10日以上続く)などの場合は、早めに歯科医院や口腔外科を受診し治療を受けましょう。口内炎ができる原因や症状はそれぞれ異なるため、専門家による診断が必要なケースもあります。
また、なかなか治らなかったり繰り返しできたりする場合は他の疾患の可能性があるため、一度歯科医院を受診するのが良いでしょう。
脱水症状を防ぐためにも水分補給はしっかり行いましょう。
矯正治療期間を快適に過ごすためにも、口内炎の原因や対策方法をあらかじめ知っておくことが大切です。徐々に慣れてくると、粘膜が鍛えられて口内炎の発生も減少していきますので、適切なケアを行いながら治療を継続していきましょう。
まとめ
矯正治療中の口内炎は、装置による物理的な刺激が主な原因ですが、栄養不足やストレス、口腔内の衛生状態なども影響します。
矯正用ワックスの使用や市販薬での応急処置、刺激の少ない食事など、自宅でできる対処法を実践することで痛みを軽減できます。また、ビタミンB群を含む食事を意識的に摂取し、丁寧な歯磨きで口腔内を清潔に保つことが予防につながります。
痛みが長引く場合や繰り返しできる場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
Belle歯科・矯正歯科では、矯正治療中の患者様のお悩みに寄り添い、快適な治療期間を過ごせるようサポートしております。口内炎でお困りの際は、お気軽にご相談ください。詳細はこちら:Belle歯科・矯正歯科
著者情報
Belle歯科・矯正歯科 院長 竹内優斗
[経歴]
日本矯正歯科学会 認定医
近畿東海矯正歯科学会
インビザライン プラチナプロバイダー
兵庫県歯科医師会
神戸市歯科医師会
神戸市西区歯科医師会


